
「この会社を離れたら、自分には何が残るんだろう」と不安になったことはありませんか?
現職に満足していても、不満をもっていても、一度は転職を考えてみたことがあると思います。でも、そもそも自分にスキルが身についているのだろうか。そこがわからなくて不安になったことがある方もいらっしゃると思います。

結論からいうと、大手企業にいるからスキルが身につかないわけではありません。実は、大手企業、中小企業問わず、どんな会社でも、会社が用意してくれている環境と、自分自身が別の場所でも再現できる力を分けて考えることが重要です。
私自身、大手企業と中小企業両方で働いた経験がありますが、転職したことで、自分が当たり前にできると思っていた仕事が、環境が変わった途端に何もできなくなる経験をしました。
この記事では、人材業界で10年以上、今日までに5000人近くのキャリア相談を受ける中で、さまざまな規模の会社、立場で働く方々が日々悩んでいることをお聞きしてきました。そのような中、会社の傘の下だと見えにくい、「自分の実力」の確かめ方と、今の会社にいながらできることをお伝えします。

人材業界で10年以上、たくさんの人のキャリアと転職を見てきた「ステラ」です。今日は、私自身が大手からベンチャーに移って痛感した「会社の看板と自分の実力」の話を、人材のプロとして、そして一人の当事者としてお伝えします。
「大手にいるとスキルが身につかない」と感じるのは、あなただけじゃない

大手にいるとスキルは身につかないのか?
結論、大手でもスキルは間違いなく身につきます。ご安心ください。
ただ、大手企業と中小企業では、身につくスキルや経験が会社の環境によってい違うのは確かです。
一般的な傾向として、以下にまとめさせていただきました。
例えば大手の経理部を例に説明します。大手企業では、業務が細分化され、一つの領域の専門性を深めやすい傾向があります。一方、中小企業では、決算・税務・日常経理などを幅広く担当し、業務全体を見渡す経験を積みやすいことがあります。
上記に述べた通り、「大手企業だから」スキルが身につかないのではなく、自分自身が今後進みたい、経験したい方向性によって得られるスキルが異なるということです。
そう考えると、自分自身にスキルをつけるためには、自分の会社が「大手企業」「中小企業」といった会社の規模や環境だけが判断ポイントにはならないと言えます。

自分自身にスキルをつけるための本当の問題は「大手かどうか」じゃないかもしれません 。

自分にスキルをつけるために一番意識したほうがいいことは、「会社の看板を、自分の実力だと思い込んでいないか。」それは大手企業、中小企業関係なく、どこでも起こります。
そのことに初めて気がついたのは、父が役職定年をきっかけに30年以上勤めた大手企業を退職するか、転職するかで悩んでいた出来事でした。
私の父は、名のある大手企業で新卒からずっと勤め上げており、部長クラス以上の役職についていました。当然、娘としても自慢の父でしたし、退職してもきっと違う仕事をして活躍するものだと考えていました。しかし、結果は他社への転職は厳しく、異業種の別会社へ出向という形になりました。

「あの会社で役職についてても50代すぎると転職先が難しいんだ」まだまだ健康で第一線で活躍できそうな父だったので、娘としては正直もったいないと思ってしまったのです。
その後、わたしが現在の人材会社へ転職し、転職市場をみてみると、特に年齢が上がるにつれて、現職での肩書きや社内経験を、他社でも通用する形で説明しづらい方は、転職活動で苦戦するケースがあります。
会社の看板=自分、になっていませんか?

わたしは、大手企業と中小企業どちらでも働いたことがあるとお伝えしたかと思いますが、完全に「会社の看板にあぐらをかいていた」わたしが経験したことを少しお伝えします。
新卒で入社した大手企業はマニュアルもしっかり完備されており、かなり仕事も細分化されていました。事務作業はすべて内勤の方対応。営業だけに集中できる環境で、23歳の若造が黒塗りの高級車で運転手付きのハイヤーで営業先にいくことも。そんな環境の中、仕事もそれなりにできていると自負していました。
その後、2社目に中小企業へ転職したのですが、転職してみてびっくりしたのは、とにかく目の前のことは全部自分で対応する必要があるということでした。
これを読んでいる方は、当たり前だろう、甘いなと思われると思いますが、そう思われる方、おっしゃる通りでございます。
コピー機すらまともに触れず、Excelもろくに使えず、領収書の処理や予算、実績作成等、すべてが初めての経験。クライアントや社内の上司からはお叱りを受ける日々。社内でも、あんなに立派な会社からきたのに全然何もできないと小言を言われていたことも知っています。自分は何もできないんだと自己嫌悪になり、自分に自身を無くしてしまった出来事でした。

でも、この絶望を味わって、私はある大切なことに気がつきました。
どこの会社で働いていたかは全く関係ない。自分が何ができるかを常に考えて働かなくてはいけないなと。
特に、会社に信用力があったり、環境に恵まれていると、「会社の看板や、用意された完璧な仕組みを、自分の実力だと勘違いする可能性がある」ということです。
ピカピカの社用車も、手厚い営業サポートも、親切なマニュアルも、すべては「会社」が作ってくれたもの。その看板が一歩外れたとき、むき出しになった自分に何が残るのか。父が悩んでいた理由も、私がコピー機の前で立ち尽くした理由も、すべてはここにありました。
会社の看板に頼っていた人は、その後どうなる?
ここで、人材エージェントとして今日までに5000名近くの方のキャリアに触れてきた中で知ったことについてお伝えします。
まずは、自分自身のスキルを確認する上で、以下の4つについて棚卸ししてみてください。
ポータブルスキル:営業、マネジメント、問題解決、コミュニケーションなど
専門性:何について詳しいか
再現性:別の会社でも同じ成果を出せるか
実績:何を改善・達成したか

これを見たときに、やばい、自分には何もないと思っている方もおられるのではないでしょうか。

大丈夫です、安心してください。
きっと自分自身では気がついていないスキルや経験を必ず持っていると思います。職務経歴書にかける実績がない、そんなお悩みの方は、一度転職エージェントに相談するのも一つです。
ご存知な方も多いと思いますが、近年は人材の流動性が高まり、ジョブ型の雇用を進めている会社も増え、一社で定年まで働くことだけを前提にキャリアを考えるのが難しい時代になっています。
自分では強みに気づけない場合、第三者に棚卸しを手伝ってもらうのも有効です。転職エージェントに相談すると、求人紹介だけでなく、自分の経験が市場でどう評価されるかを客観的に確認できることもあります。
自分のキャリアの選択肢を客観的に見てみたい方は、企業の口コミや選考情報を確認できるサービスを使ってみるのも一つです。
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いろいろとお伝えはしましたが、正直、働く価値観はそれぞれだと思います。
しっかりとキャリア構築をしたい、実績も年収も上げたいという方もいれば、仕事は決まった時間でこなし、なるべくプライベートを重視したい。どちらも間違っていません。
でも、もし将来的に長く働きたい方や、子育てが落ち着いたタイミングでキャリアを再構築していきたい方等、「働くこと」で自己実現をしたい方には、一度考えていただいても良い視点かもしれません
こんなことをいうと、やりたいことがわからない方や、今の会社での仕事以外を選択肢として考えたこともない方は戸惑うかもしれません。
でも、そのような方こそ一度、以下のようなことを考えてみてください。
今の会社を辞めたとしても残るものを5つ書いてみる。
- 私は何の仕事なら一人で任せてもらえる?
- 過去3年で数字で説明できる成果は?
- 他社でも再現できそうな経験は?
- 周囲からよく頼まれることは?
- 「あなたは何屋さん?」と聞かれたら何と答える?

正直、自分のやりたいことが最初からわかっている方は1割もいないと思います。ほとんどの方は将来なにがやりたいか、今どうしたらいいかわからないと思うんです。
ただ、自分自身が目指す方向性によって、キャリアの選択肢はひとそれぞれ異なっていて、自分自身の未来に合わせて環境を選べるということは知っていてほしいなと感じています。
今の会社にいることが問題なのではありません。
大切なのは、「ここにしかいられないから残る」のか、「外でも働ける力はあるけれど、私はここを選ぶ」のか。
私は後者の方が、ずっと自由だと思っています。
ただ、ときどき自分に聞いてみてください。
「会社の名前を外したとき、私は何屋さんだろう?」
その答えを少しずつ増やしていくことが、これから長く働いていくためのキャリアづくりだと思っています。

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